有限会社アール・エス・シー企画 フランス語はじめヨーロッパ言語など科学技術専門の翻訳会社 -- ASN(フランス原子力安全規制機関)の検査事後書簡;EDF本社、原子力発電事業部(DPN)、REXの作業体制と処理(検査実施日:2011年12月20日)
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パリ発、2012116
参照番号:CODEP-DCN-2011-071696
 
EDF原子力発電事業部長殿
Site Cap Ampère 1 place Pleyel
93 282 SAINT-DENIS CEDEX
 
案件原子力基本施設の検査
EDF 原子力発電事業部(DPN
20111220日の検査INSSN-DCN-2011-0654
テーマ:「環境」
 
参考 [1]      原子力の安全及び透明性に関する2006613日法、特にその第4条及び第40
[2]      201131日付ASN書簡CODEP-DCN-2011-010003
[3]      201161日付EDF書簡D4550.32-11/2513
[4]      20101228日付ASN書簡CODEP-DCN-2010-070069
 
拝啓、
[1]の法律第4条に規定されている原子力原子力基本施設の検査について原子力安全機関(ASN)に与えられた権限の範囲内で、20111220日、原子力発電事業部(DPN)で、「環境」をテーマに経験フィードバックの組織化と処理に関する通常検査が実施された。
この検査の総括、並びにその際に検査官が摘出した確認事項に基づく主な要求事項及び所見を茲許貴殿にお伝えする。
検査の総括
検査官は、全国レベルで経験のフィードバック(REX)を展開するためのEDFの作業体制を審査した。即ち、どのような情報が入力され、どのように処理されているか、またどのような情報がサイトに提供され、どのように活用されているかについて審査を行った。現行の作業体制は、そのプロセスが未だ確定されてはいないものの、満足できるというのが検査官の評価である。彼らは、特に、REXからの情報をサイトに伝える際の教育学的配慮、データベースにおける事象のコーディングパラメータの重要性、そして事象に対する優先順位割当方法の妥当性を確認した。
次いで、検査官は、EDFが下記に関する最近の事象からどのような方法でREXを引き出したかを審査した:
    冷房設備、
    アメーバ症やレジオネラ症に関するリスク管理、
    下水路や雨水排水路の蓋(SEO系)、
    原子炉の固形廃棄物タンク(TES槽)及び「Mercureキャンペーン」と称されるタンク内容物除去キャンペーン。
今回の検査では、著しい違反を確認することはなかった。
A. 是正措置の要求
EDFは、REXの全国審査の入力データを検査官に明らかにした。具体的には、
    原子力発電所から上がってくる情報、
    EDF内部プロセスに沿った申告REX
    国内のエンジニアリング産業から上がってくる情報、
    DPN外部の、特にASNEDFの原子力安全の一般検査、或いはサービス業者からの情報、
    国際的なREX
これらの入力データの内、ASNから特に要求がない限り、原子力発電所に関するREXだけが収集されていることを検査官は指摘している。
検査で検査官が指摘したように、フランスには、例えばBAPRIMEDDTLの産業リスク・汚染評価局)が運営するデータベースARIA(事故に関する評価、調査及び情報)が存在し、インターネットからアクセスできる。このデータベースは、環境保護指定施設に関係する1992年以降の事故、並びに危険物の輸送、鉱山及び採石場、大型ダムの分野の2010年以降の事故を網羅している。
原子力発電所のREXは他の分野のREX、特に石油化学などの長大産業の操業から得られたREXを考慮すべきことは国際的に認知されている。
要求事項A1
原子力発電所以外の分野からのREXも収集、評価できる作業体制の導入を要求する。この体制は、最低限、ARIAデータベースから入手可能な情報を活用できねばならない。
[2]の書簡で、ASNは、ノジャン発電所のTES槽に関する事象のREX、その後に行われたASNの検査による確認事項、ノジャン発電所が導入したグッドプラクティスを運転中の全ての発電所で考慮するために全国規模で講じた措置について3カ月以内に知らせるようEDFに要求した。
EDF[3]の書簡で回答したが、以下から得られたREXを明らかにしなかった:
    TES槽の高レベルセンサーに関連する、改善の余地のある警報シートの作成、
    樹脂を洗い落す恐れのある作業の際にリアルタイムで行われていないTES槽のレベルの監視、
    フラッシュ作業の都度、遠隔目視検査でダイク内の水を点検するノジャン発電所のグッドプラクティス。
検査の際、EDFはこれらの点に関する考察やEDFの決定を示す材料を検査官に提示しなかった。
要求事項A2
ノジャン発電所で発生した事象のREXを徹底的に検討し、EDFが運転する全発電所への適用可能性を探るよう要求する。
B. 追加情報
EDFは、SEO系の蓋の使用可能性に関するREXを考慮していることを検査官に紹介した。検査官は、EDFASNと同様に問題点、即ち圧縮空気系統の問題或いは排水路装置類の機械式固定の不具合(例えば豪雨の際の蓋の脱離)等を摘出しており、運転中の原子力発電所に向けた是正措置を組み入れていることを確認した。
環境面の重大事象が、2011711日、解体段階にあるショーA発電所の原子炉で発生した。SEO系の蓋が雷雨で持ち去られる事象であった。EDFは、検査官に対して、解体中のサイトについてのREXを考慮するのは、検査の際にその場にいなかった解体エンジニアリング・環境センター(CIDEN)の担当であると明言した。従って、EDFはこのセンターのREXに関する処理方法を検査官に詳しく説明できなかった。
要求事項B1
CIDEN
が解体中のサイトに対してどのような方法でREX後に特定された対応措置の適用を求めるのか知らせるよう要求する。特に、雷雨後のSEO系の蓋の検査についてCIDENが解体中のサイトに求めた対処内容を知らせること。
C. 所見
C1. 冷房設備に関するREX
参考の[4]に挙げたASNEDFとの2010121日の会議議事録で、ASNは以下の点を指摘した:
EDFは、発生した事象について、グッドプラクティスを適用していたならば回避できたかどうかを検証する評価を行っていない。ASNとしては、下記の点からこの作業を行うべきであると見ている:
    グッドプラクティスを適用することによって事象の件数又は重大度の面で得られるゲインを数量化する。
    グッドプラクティスの適用が齎すと思われる回避されたEIE/ESE面のゲインをサイトに説明する。
    一部のグッドプラクティスを規則化すべきかどうかを判定する
中央の部署だけがこの作業を行うことができる。
検査の際、EDFは、この作業を行うため、サンプル抽出後に14件の重大事象を検討したことをASNに明らかにした。
20121月から始まるはずの発電所全体案件AP 11-09を展開する際には、全ての事象を詳細に検討すべきであろう。
同様に、検査官は、2010年及び2011年に発生した事象を受けて一部のサイトが導入した是正措置がこの発電所全体案件の枠内で検討され、他のサイトへの適用可能性が検証されるはずであると指摘している。例えば、20105月にEDFが打ち出した、運転で適用すべき監視措置は2012年から取り上げられる予定である。
検査官は、発電所全体案件が大胆な期限を設定した、頑強な作業枠組みであると見ている。しかしながら、全国規模での経験フィードバックの考慮は、小規模サンプルの事象だけを評価に取り上げてこれらの事象をグッドプラクティスと比較対照したために優先順位を速やかに特定することなく、事象によっては2年以上を経てはじめて行われる場合もあることを検査官は指摘している。
C2. アメーバー症やレジオネラ症
2011518日、ムーズ県が測定したアメーバーの濃度が100 Nf/Lを超えるという環境上重大な事象がショー発電所で発生した。検査官は、彼らに提示された作業体制に依れば、事象発生から3ヶ月以内にこの事象の「冷態REX」が実施されるはずであるにも拘らず、この種の検討が未だに行われていないことに着目した。
C3. ダイクの検査
2011926日、廃棄物処理建屋(BTE)のサンプのダイク内で水の存在が確認されるという環境に関わる事象がノジャン原子力発電所で発生した。2011128日と9日の両日、この発電所内で検査を実施し、この事象と取り組んだ。検査官が提起した所見に依れば、区画QB402は放射線量が極めて高く除染が難しいことから、そのダイクはダイク点検範囲から除外されていた。
20111220日の検査の際、EDFは、ダイクの点検が全国レベルではフォローされていないことを明らかにした。点検を行っていないとすれば、その発電所は土木構築物に関する保守プログラムに違反していることになり、その処理が必要である。
検査官によるREXの評価から、クリュアス発電所でも、放射線レベルで接近が難しい区域にある一部のダイクの点検について問題を抱えていることが明らかとなった。
ASNとしては、毒性、放射性、可燃性、腐食性又は爆発性(TRICE)物質を貯蔵するタンク周りのダイクの点検は、法定義務以上に安全上重要であると見ている。従って、ASNは、複数の発電所が未だ問題を抱えていることからしても、EDFの中央レベルがこうした点検のフォローについて検討すべきであると考える。
以上の点に関する貴殿の意見及び回答を2ヶ月以内に報告するようお願いする。貴殿にて講じることになる措置について、明確にこれらを特定し、それぞれの実施期限を明示されたい。
 
敬具
原子力安全機関理事長に代わり、
原子力発電局長
 
トマ・ウドゥレ
 
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