有限会社アール・エス・シー企画 フランス語はじめヨーロッパ言語など科学技術専門の翻訳会社 -- ASN(フランス原子力安全規制機関)の検査事後書簡;クリュアス原子力発電所、安全上重要な系統−REA系及びRCV系(検査実施日:2012年4月26日)
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リヨン発、201253
参照番号:CODEP-LYO-2012-021298
 
クリュアス原子力発電所所長殿
EDF - クリュアス原子力発電所
BP 30
07 350 CRUAS
 
案件原子力基本施設の検査
クリュアス原子力発電所(INB No. 111及び112
2012426日の検査INSSN-LYO-2012-0141
テーマ:「安全上重要な系統:REA系及びRCV系」
 
拝啓、
環境法典第L596-1及びそれ以降に規定される原子力基本施設の検査について原子力安全機関(ASN)に与えられた権限の範囲内で、2012426日、クリュアス原子力発電所で、「安全上重要な系統:REA系及びRCV」をテーマとした検査が実施された。
この機会に検査官が行なった確認事項を受けて、私はこの検査の総括、並びに検査から発生した主な要求事項及び指摘事項を茲許貴殿にお伝えする。
検査の総括
2012426日のクリュアス原子力発電所(INB No. 111及び112)の検査は、冷却水及びほう酸補給系(REA系)と化学体積制御系(RCV系)を対象にしたものであった。検査官は、規則書の導入並びに定期試験や保守プログラムの実施に関する発電所の組織体制を中心に検査を行った。2008年から2011年にかけて発生したこれらの安全防護系に関する重大事象の検討から得られた是正措置の適用状態についても検証した。検査官は施設の立入り検査も行った。
この検査の結果、関連区画内の整理やREA系及びRCV系の運転を確保するため発電所が敷いている組織体制は満足のいくものであると検査官は評価している。しかしながら、これまでに発電所で発生した事象からの経験フィードバックの文書化改善を監督していく必要がある。
A. 是正措置の要求
規則書の導入
EDF原子力発電事業部は、201055日、DP 2500版の指示書を発行した。この指示書には、オイル漏れや水漏れを管理するために講じるべき措置が説明されている。指示書の付属書No.8は、遅くても通常のポンプ取替までに、また是が非でも20201231日までには、化学体積制御系(RCV系)のポンプの軸受けカバープレートを設置するように命じている。
ポンプ1 RCV001 POの寿命から見て、このポンプの取替を2018年に実施する必要があることが検査官に示されていた。然るに、予測保守ソフトウェアPRV上では、通常の取替が2025年に計画されている。
要求事項A1:この矛盾を是正し、DP 2500版の指示書が定める命令に沿って予測保守アプリケーションの更新実施を要求する。
予防保守基本計画PBMP OMF PB 900-RCV-01、第1版の200818日付修正シートNo.1は新たなグリースの使用を推奨し、このグリースを使用する電動サーボモータの点検頻度を新たに定めている。検査官は、修正シート作成者が2回に亘り期限の延長を認めているにも拘らず、未だにこの保守要領の変更がサイトの予測保守に組み込まれていないことを発見した。
要求事項A2:予測保守にPBMP OMF PB 900-RCV-01、第1版の修正シートNo.1を正式に組み入れるよう要求する。
経験のフィードバック
ASNに提出された2009915日の重大事象報告書は、2009721日に3号機で発生した重大事象、すなわち「1 R-RCP1ユニットの事象(230 l/時を超える数量化されていない1次冷却水漏れ)によるユニットの停止」を受けてのものである。
この報告書で、サイトの4基の原子炉の弁RCV 030 VPについて現況をまとめて報告書を提出することを6番目の対策として約束している。この約束の期限は2010131日に設定されている。
2010127日の報告書は2件の不具合を指摘している:
    一つは、4基の原子炉に使用されているポジショナーが老朽化しており、2010年ないし2011年の次回の一部点検停止の際に取り替える必要がある。
    もう一つは、2010年ないし2011年の次回の一部点検停止の際に、4基の原子炉のグラファイト製パッキン押え(PG)をテフロン製PGに取り替える必要がある。
ポジショナーが実質的に全て取り替えられている一方で、検査官は、弁1 RCV 030 VP及び2 RCV 030 VPPGは取り替えられていないことを発見した。検査官に対する説明に依れば、PGの取替は2016年に予定されているということであるが、PGの取替を先送りした根拠を提示できないままであった。
更に、クリュアス原子力発電所の原子炉4基の弁RCV 030 VPで発生した不具合は、その処理の段階で他の原子力発電所に向けて文書化される経験フィードバックで取り上げられることはなく、2011317日の弁製造業者音声会議の際に口頭で紹介されただけであった。
要求事項A3PG取替え猶予期限の延長決定を国の指示制定者の正式な検証で文書化するよう要求する。
ASNに提出された2011926日の重大事象報告書は、20091112日及び2010514日に2号機及び4号機で発生した重大事象、すなわち「弁4 RCV 053 VP4 RCV 054 VP及び2 RCV 083 VPの耐震サポート並びに振れ止めの欠如」を受けてのものである。
この報告書で、K3タイプの事故条件で認定されている弁の点検並びに違反の処理を求める第3の対応策が解決済みとして記されている。
然るに、検査官は、K3タイプの事故条件で認定されているこれらの弁の幾つかが未だ再適合化されていないことを確認した。
要求事項A4:重大事象報告書の中でASNに提供した情報に間違いがないことを確認するよう要求する。特に上述第3の是正措置の進捗状況をASNに知らせること。
条件付き保守
クリュアス原子力発電所のRCV系のポンプについては、対照機器による条件付き保守が行われている。対照機器による保守に関する2010414日の方法論の指針は、その第5章で、該当機器群に予期せぬ事象が生じた場合には速やかにこれら機器の追跡調査担当者に知らせるよう規定している。
予防保守基本計画PBMP OMF PB 900-RCV-01、第1版は、その付属書1で、ポンプ2 RCV 003 POが対照機器の一部であると定めている。
然るに、このポンプは不測の事態を受けて201212日に取り替えられている。
EDFの中央部署でこのポンプの追跡調査を担当する者は確かにこの件について知らされていたが、品質保証には反映されていなかった。
要求事項A5:経験のフィードバックを確保するため、条件付き保守の対象となっている機器の追跡調査担当者間の情報交換を品質保証に組み入れるよう要求する。
区画内の整理
施設の中で、検査官は対応措置要求(DINo. 9189709618511086182及び904487に関するバッジ(macaron)の存在を確認した。然るに、DI管理ソフトウェア(SYGMAアプリケーション)では、これらの対応措置要求が処理済で表示されていた。
要求事項A6:施設から処理済DIのバッジの除去を要求する。
ポンプ4 RCV 001 POの床サポートのボルトが一個欠落していた。
要求事項A7:ポンプ4 RCV 001 POの床定着部のボルトを取り付けるよう要求する。
検査当日、タンク8 REA 05 BAの下部にある分岐管で大量のほう酸の痕跡が確認された。更に、タンク下の弁周辺では、分岐管の断熱材とこの弁の目印が欠落していた。
要求事項A8:タンク8 REA 005 BAの再適合化を要求する。
B. 追加情報の要求
検査官は、弁04 RAZ 032 VZの振れ止めの再適合化を目的に行われた対応作業を点検した。作業報告書は、部屋の形状が原因で所定のスパナを使ったボルトの締め付けができなかったことを記している。
要求事項B1:このボルトの耐震性能が確保されていることを証明するよう要求する。
3号機のREAポンプ室で、検査官は天井から吊り下がっていて、一方の管端が他のどの配管とも接続されていない金属配管を確認した。
要求事項B2:地震付随事象(séisme événement)アプローチの一環として、この金属配管を固定する機会を設けるよう要求する。
C. 所見
特になし
以上の点に関する貴殿の意見及び回答を2ヶ月以内に報告するようお願いする。貴殿にて講じることになる措置について、明確にこれらを特定し、それぞれの実施期限を明示されたい。その後期限の変更が必要となる場合には、その旨当方まで知らせるよう要請する。
 
敬具
原子力安全機関理事長に代わり、
リヨン支局副局長
 
オリヴィエ・ヴイレ
 
 
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