有限会社アール・エス・シー企画 フランス語はじめヨーロッパ言語など科学技術専門の翻訳会社 -- ASN(フランス原子力安全規制機関)の検査事後書簡;サン・アルバン原子力発電所、外部ハザードをテーマとする検査(検査実施日:2012年6月26日)
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リヨン発、201276
参照番号:CODEP-LYO-2012-037164
 
サン・アルバン原子力発電所所長殿
BP 31
38 550
Saint-Maurice l’Exil
 
案件原子力基本施設の検査
サン・アルバン/サン・モーリス原子力発電所、INB No. 119及び120
2012
626日の検査INSSN-LYO-2012-0315
テーマ:外部ハザード
 
 
拝啓、
環境法典第L596-1条及びそれ以降に規定される原子力基本施設の検査について原子力安全機関(ASN)に与えられた権限の範囲内で、2012626日、サン・アルバン/サン・モーリス原子力発電所(INB No. 119及び120で、「外部ハザード」をテーマとした計画検査が実施された。
この機会に検査官が行なった確認事項を受けて、私はこの検査の総括、並びに検査から発生した主な要求事項及び指摘事項を茲許貴殿にお伝えする。
検査の総括
2012626日のサン・アルバン/サン・モーリス原子力発電所の検査は、「外部ハザード」をテーマに行われた。検査官は、発電所周辺の産業環境並びにサイトの上空飛行から発生するリスクを踏まえてEDFが導入した組織体制を検査した。検査官は外部ハザードに関する様々な規制措置の実施状況を調べ、実際の状況に適応させるサイトの準備体制を検証した。また検査官は、サイトの組織化及び定期試験報告書に記されている「酷暑」に関する全国規模の特定運転規則(RPC)の適用状況、「暑い」時期に入って以降対応する定期試験が円滑に実施されているか、また的確な区画構成についても、現場への立入り調査で検証した。
この検査の結果、「酷暑」に関する全国的な基準がこのサイトでは適切に運用されていることが明らかとなった。しかしながら、酷暑警戒期間と大寒波警戒期間との移行を文書化すべきである。更に、サイトはその周辺の危険物質輸送リスクに関する評価を更新し、このリスクが施設の安全性に及ぼす影響を算出するよう配慮する必要がある。最後に、現実状況への適合化は、警戒体制を信頼できるものとするためサイトが県と取り交わしている相互通報協定を新たにする必要性を明らかにした。
A. 是正措置の要求
産業環境
200228日の暫定措置DT 166では、「2年毎に大型貨物自動車の交通量の総合的な推移に関する定性データを得るため」に「警戒・監視体制の導入」を自らに命じている。
検査官は、現時点でサイト適用されている「サン・アルバン発電所周辺の危険物陸上輸送」の付属書が2009723日まで遡る点を指摘している。
要求事項A1:陸上交通量の推移に関するデータを2年毎に収集するための警戒・監視体制の導入を要求する
200228日の暫定措置DT 166は、その他の輸送形態についても、「2年毎に危険物輸送量の推移を定量評価するため」に「警戒・監視体制の導入」を自らに命じている。
検査官は、2012620日付で危険物輸送業者に対して書簡が送付されてはいるものの、産業環境の技術的監視報告書に記されている現行評価は20093月及び4月まで遡る点を指摘している。
要求事項A2:陸上以外(河川、鉄道、ガスパイプライン)の輸送量の推移に関するデータを2年毎に収集するための警戒・監視体制の導入を要求する
200228日の暫定措置DT 166は、更に、「産業環境の変更に伴うリスクの分析及び評価を行う体制の導入」を自らに命じている。
然るに、検査当日、発電所周辺における危険物輸送の評価を受けたリスク分析結果を検査官に提示できなかった。
要求事項A3:産業環境に関連するリスクの分析及び評価を実施できるような体制の導入を要求する
ローヌ川の「炭化水素層の漂着」リスクを考慮するため、「VD3 1300 シートAGR22 炭化水素」という案件でEDFの原子力安全部長からASNに送付された201067日付書簡EMESM100388で、サン・アルバン発電所に「移動式のオイルフェンス型措置を講じる」と約束している。この措置は「2011年から運用」されるはずであった。
然るに、検査当日、検査官はこの措置が講じられていないことを検証した。
要求事項A4:書簡EMESM100388に従って、オイルフェンス型措置を講じるよう要求する
検査官は、サイト周辺で産業事故が生じた際に県からサイトに出される通報について、現状に適応しているかを試した。県との相互通報協定に則り、ファックスを主要連絡センターに送信した。1時間経過してもこのファックスは相変わらず気づかれず、センターの担当者はファックスが数時間気づかれないままの可能性があることを検査官に明らかにした。
要求事項A5:県との相互通報協定を一新し、県からの警報が緊急事態に見合う時間内で処理できるよう確認することを要求する
酷暑
200449日の「酷暑」特定運転規則(RPC)は、外部条件に応じた様々な気象追跡段階を定めている。特に、「規則P-2.cはある段階から別の段階に移行する際には種々の機関に通報すること」を要求している。「とりわけ、(サイトの気象情報提供の立役者である)DTGに対しては、速やかに通報しなければならない」。
検査官は、今年の酷暑RPCの警戒段階適用開始日について運転チームのメンバーの中で意見統一がなされていなかったこと、更にDTGがこの警戒段階適用開始日について通報されていなかったことを指摘している。
要求事項A6:気象追跡段階の切替を形式化するよう、特に運転関係者全員への周知徹底を図るよう要求する
「酷暑」RPCは、警戒段階での月間測定も規定している。サン・アルバンのサイトでは、測定は定期試験EP STE 3-392の際に行われている。この定期試験は、大寒波警戒段階から酷暑警戒段階への移行を51日としている。
然るに、サイトは61日になってから酷暑警戒段階に移行したことを検査官に明言している。従って、5月に行われた試験は規定の手順書を適用していないことになる。
要求事項A7:サイトで現在適用されている警戒段階に則り定期試験EP STE 3-392をやり直すよう要求する
「酷暑」RPCの規定2.4.bは、変圧器TSのオイル温度並びに警戒段階への移行を特に監視するよう求めている。サイトはこの規定に関係するその他のパラメータを日々点検する一方で、変圧器TSのオイル温度の点検は酷暑警戒段階に入っても月に一度しか行っていない。
然るに、サイトは61日になってから酷暑警戒段階に移行したことを検査官に明言している。従って、5月に行われた試験は規定の手順書を適用していないことになる。検査官に対する説明に依れば、現場作業員の安全上の理由で測定を毎日行っていないということであるが、この規定違反は書面でその正当性が立証されていない。
要求事項A8:この「酷暑」RPC違反について、文書で見解を明らかにするよう要求する
所内の移送
1984810日付省令の第8条は、「品質に関係する各作業に適応する技術検査が実施されるような組織体制を確立し、運用すること」と謳っている。
発電所のサイトで、検査官は、BTEからTFAに移送された極低レベル放射性廃棄物パッケージを検査した。このパッケージは平底トレーラに固定された容器である。然るに、このトレーラの車輪は健全性に欠けており、容器をトレーラに固定する4個の留め具の内1個が欠損していた。
要求事項A91984810日付省令の規定に則り、TFA容器のトレーラの状態が所内移送の安全要件に確実に適合するような措置を講じることを要求する
B. 追加情報の要求
サイト周辺における危険物の輸送データを一新するため、サン・アルバン発電所は、2012620日、この件に関する情報を提供するよう求めた書簡を関係企業に送付した。
これらの関係企業リストは、産業環境の監視に関する20101221日の技術報告書に記されている企業リストに比べより充実している。
要求事項B1:連絡をとった企業のリストがサン・アルバン発電所周辺で危険物の移送に関わる可能性のある企業全体に対応していることをASNに確認するよう要求する。
サイトの有毒ガス・リスクに対処するため緊急時手順を改訂中であることを検査官に明らかにしている。特に、20127月末から従業員にガスマスクを提供する予定と聞いている。
要求事項B2:このガスマスクの配備が首尾よく実施されたかASNに確認するよう要求する
ローヌ川からの外部ハザード(例えば炭化水素層、雷雨に伴う浮遊物)への備えの中で、ローヌ国有会社(CNR)との相互通報協定を導入していない。
要求事項B3CNRとの相互通報協定の導入に関する見解を明らかにするよう要求する
C. 所見
C1「酷暑」RPCの規定1.3.aは、警戒段階で影響を受けやすい諸系統に発生するあらゆる異常を優先的に処理するよう求めている。検査官は、これらの影響を受けやすい系統について数ヶ月前に出された対応作業要求(DI)が処理されていないことを発見した。RPCに従って、これらのDIの優先的処理を監督するよう要求する。
C2制御室内のチームは、「酷暑」RPCの適用手順で改訂すべき不備を幾つか指摘していた。次回の報告書ではこれらの考察を反映するよう要求する。
 
ASNリヨン支局副局長、
Olivier VEYRET
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