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Contrôle189号:欧州原子力安全・放射線防護拠点の構築
 
パリ発、2010年11月15日
公開刊行物
189論説
原子力安全に関する欧州指針の採択から一年を経て、原子力安全と放射線防護の欧州拠点の構築は継続、強化されている。この重要な話題をContrôle誌で取り上げることが求められていた。
国際戦略を積極的に押し進めることは、常に、フランス原子力安全規制機関の活動の中心であった。国際関係におけるASNの特権を謳うTSN法の第9条は、特に、この件でのボランティア戦略を容認している。IAEA或いはNEAなどの国際組織や欧州内でかなり以前から見られるASNの強力なプレゼンス、海外の安全規制機関との濃密な関係、更にはWENRAの設立や運営或いはMDEPへの関与がそれを証明している。
ASNの国際戦略において欧州は特別な位置を占めており、我々としては補完し合う三つの側面から欧州をとらえている。すなわち、
·    隣国やその他の欧州諸国との緊密で実りある技術協力を維持できる二国間関係;その成果がクロス検査や職員交換交流となって現れている。
·    規制機関ネットワーク。中でも間違いなく最も知られているのがWENRA(西欧原子力規制者会議)で、原子炉の安全、並びに廃棄物や使用済み燃料の管理に関する具体的事例で現在大きな成果を収めている。WENRAのほかにも、原子力安全と放射線防護を日々進化させている欧州の多国間イニシャティブが存在する。例えば、欧州の放射線防護の前進と統一に貢献するHERCA(欧州放射線防護機関管理者連合)である。
·    そして最後にEUで、欧州原子力共同体(Euratom)を設立する条約に調印した1957年以降、放射線防護に関する、そして最近では原子力安全に関する政策立案のための法的枠組みを提供している
これら三つの側面はお互いに作用し合い、「欧州原子力安全・放射線防護拠点」の設立に関与している。どの側面も必要不可欠である。それぞれが共存し、この拠点の構築に貢献している。複雑、ダイナミック、効率的なこのプロセスは国際的に例を見ない。
ASNは、以前より、原子力安全と放射線防護の欧州の構築を強力に支持することに専心してきた。二国間関係の枠内はもとより、規制機関ネットワークの導入においてもそうであった。90年代末のWENRAの設立、その業務遂行へのASNの継続的な関わり、そして最近ではHERCA創設に対するASNの支援の中で、ASN理事長アンドレクロード・ラコストが欧州の他の規制機関とともに果たした役割は誰もが知るところである。
ASNは、ENSREG(欧州原子力安全規制機関グループ)或いはEuratom条約適正運用委員会に助言する専門家委員会など欧州共同体域内でも強力なプレゼンスを発揮している。
ASNは、フランスの諸機関と緊密な協議を重ね、また加盟27カ国の原子力安全規制機関や欧州委員会と対話を継続し、原子力施設の安全に関する指針が2009年に採択されるよう全力を投入した。
この指針の採択は幾つかの点で極めて重大な出来事である。
先ず、この指針は拘束力を持つ欧州共同体の法律に原子力安全協定の諸規定を取り込んでいる。これは実に前代未聞で、現在の全てのEU加盟国は勿論のこと、新たにEUに加盟しようとする全ての国に適用されることになる。指針は、安全規制機関の独立性、事業者の責任、そして公衆への情報提供を特に強調している。
また、原子力安全に関するEuratomの権限を法制化して、既に充実していた放射線防護に関する法的枠組みを更に強化した点でも大きな功績がある。
最後に、この指針は、原子力エネルギーの利用に関する強固な規制の枠組みを欧州共同体規模で導入する機会について、欧州内でのコンセンサスの成立を可能とした。これこそ、まさこの指針の核心とも言える。
ASNは、このコンセンサスにより、今度は共同協定の諸規定を欧州共同体の法律条文に「移植」して廃棄物及び使用済み燃料の安全管理に関する指針を早急に採択できるはずであり、コンセンサスを弱体化させないことが必要であると見ている。また、このコンセンサスは、情報公開などの新たな案件或いは新設原子炉の安全目標などについて常に欧州共同体レベルで取り組むという見通しも与える。実際に新設原子炉の安全目標に関しては、IAEAの基本安全原則を義務づけた世界で最初の政治「地域」であるEUが、今後欧州で設置される原子炉の安全要件でもフロントランナーとならなければ驚きであると言えよう。
ASNでは、放射線防護の基本規格、或いは欧州での放射性同位体調達の安全保障に関する委員会の今後のイニシャティブにも細心の注意を払うことになる。
こうした原子力安全や放射線防護の欧州拠点の構築は、紆余曲折を経験してきた欧州の構築に倣っている。ASNはこれからも現在のダイナミズムを維持するため自ら尽力していく覚悟である。

 

ジャン=クリストフ・ニエル、ASN総局長

 
 
欧州原子力安全・放射線防護拠点の構築
1.      欧州の原子力安全と放射線防護:重大なステップと今後の展望
Guillaume Gillet、国際関係局長、ASN
2.      原子力安全と放射線防護の欧州拠点構築に関する対談
André-Claude LacosteASN理事長
組織面の背景と法的枠組み
3.      健康保護及び原子力安全に関するEuratomの法的枠組み
Frédéric MondoloniIAEAフランス代表、戦略・対外関係局長、原子力エネルギー・代替エネルギー庁(CEA
4.      欧州の法的枠組みを目指す欧州委員会の行動
Dominique Ristori、エネルギー総局副局長、欧州委員会
5.      欧州の法的枠組み制定におけるフランスの役割
Philippe ÉtienneEUフランス常任代表
6.      欧州の原子力安全アプローチ:利益と限界
Claude BirrauxHaute-Savoie県選出議員、OPECST議長
7.      欧州と原子力安全:事業者の見解
Bernard Fourest、対原子力安全規制機関国際関係局長、原子力エンジニアリング部(EDF
8.      ENSREG:欧州の安全規制機関はどのような方法で改善を追及するのか?
Andrej StritarENSREG委員長、スロヴェニア原子力安全機関局長
9.      原子力安全の国際的推進に向けた欧州委員会の行動
Jean-Paul Joulia、原子力安全ユニット長、AIDCO総局、欧州委員会
10.    放射線防護システム導入に対する欧州の貢献
Jean-François Lecomte、国際放射線防護組織調査担当、IRSN
12.    WENRA、欧州の原子力安全の先兵役
Jukka LaaksonenWENRA議長
13.    欧州の放射線防護と安全におけるHERCAの貢献
欧州放射線防護諸機関のより緊密な協力の必要性について
Ole Harbitz、ノルウェー放射線防護機関総局長、HERCA議長
欧州原子力安全・放射線防護拠点の非公式な建設場所
14.    欧州の原子力安全に貢献する技術的安全組織(TSO
Jacques RepussardIRSN所長
15.    50年を超える北欧諸国間協力
Mette Øhlenschlæger、デンマーク放射線防護研究所所長
16.    非公式な情報交換と調整スウェーデンの経験
Bengt Hedberg、上級専門家、放射性物質局放射性廃棄物課、スウェーデン安全・放射線防護機関
17.    よう素摂取での対応レベルと関連措置の調整
Patrick Breuskin、技術エンジニア;Natasha Jerusalem、生物学者;Patrick Majerus、放射線防護専門エンジニア、放射線防護局、保健省(ルクセンブルグ)
18.    EAN 欧州ALARAネットワーク
Annemarie Schmitt-Hanning、連邦放射線防護局(BfS)、ドイツ;Pascal CroüailFrançois DrouetCEPN)、フランス;Peter Shaw、衛生保護庁(HPA)、英国;Fernand VermeerschEAN議長、原子力エネルギー研究センター(SCK-CEN)、ベルギー
19.    欧州安全・放射線防護ゾーン構築に対する原子力産業界の貢献
Dr Werner ZaissENISS法務局長;Guy Parker及びMuriel GlibertFORATOM機関問題責任者
二国間の活動
20.    現場の安全:仏独協力
Walter Glöckle、原子力安全局長、バーデン=ヴュルテンベルク州環境省、ドイツDFKGT1メンバー
21.    スペインとフランスの安全機関の間で行われたクロス検査
Anne-Cécile RigailASNボルドー支局長
22.    ASNと海外安全機関との間で行われた意見交換或いは職員交流
国際組織のビジョン
23.    IAEAEU間の原子力安全分野における協力
Philippe Jamet、原子力施設安全局長、IAEA
24.    欧州の医療施設における放射線防護の進展
国際的な公衆衛生の観点
Dr Maria Neira、公衆衛生・環境局長、WHODr Maria del Rosario Pérez、科学者、公衆衛生・環境局、WHO
海外機関のビジョン
25.    米国の原子力安全規制機関の欧州に関する見解
Gregory Jaczko、米国原子力規制委員会委員長(US-NRC
26.    欧州の原子力安全と放射線防護共通のアプローチ
Dr Ann McGarry、アイルランド放射線防護研究所所長(RPII
27.    原子力安全に関する共通規制を目指す欧州の道のり
Gerald Hennenhöfer、原子力施設の安全及び放射線防護総局長、環境・自然保護・原子力安全省(BMU)、ドイツ
関係者のビジョン(NGO
28.    原子力事業の監視に対する欧州民間企業の持続的参加を求めて
Jean-Claude DelalondeANCLI議長、EUROCLI議長
29.    欧州の原子力は経済や技術的課題だけで左右されない
Michel Lallier、原子力安全の情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)の労働総同盟(CGT)代表者;Bruno BlanchonFNME-CGTの「原子力エネルギー」部門責任者;Jean Barra、「経済・産業」部門副責任者
30.    欧州と患者の放射線防護:更に良くするために
Guy Frija、欧州放射線学会(ESR)執行委員会メンバー、国内学会委員会議長
31.    原子力の負の遺産
リスク低減のためとるべき行動
Jan Haverkamp、欧州グリーンピース「汚染エネルギー」キャンペーン担当エンジニア
原子力安全及び放射線防護ニュースダイジェスト、20105月から7
32.    国内及び海外のニュース
33.    ASN地方支局の現状
 
 
 
 
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