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ASN報告書2012
「フランスの原子力安全・放射線防護は総合的に見て十分満足できる
結果を維持した」
パリ発、2013416
ASNは、本日、2012年のフランスの原子力安全及び放射線防護の状況に関する報告書を議会科学技術選択評価局(OPECST)に提出した。
2012年は、原子力安全及び放射線防護の面で十分に満足できる一年であった。国内でも国際的にも、福島の事故の影響がまざまざと刻まれた。
2011年に実施された原子力施設の安全追加評価(ECS)を受けて、ASNは事業者に対して施設の頑強さを改善する具体策を命令し、厳しい実施スケジュールを設定した。社会、組織及び人的なファクタについて、ASNは根本的な検討を行い、これらのファクタに関する複数体制の方向性決定委員会を設置した。
EDFの原子力発電所に関して、ASNは、発電所で日々展開される保守及び運転作業の厳格さをEDF側で特に監視すべきであると判断した。実際、これらの作業が原因で発生した異常の件数が多過ぎる。オンサイト緊急時計画の改革、機器の保守及び取替プログラムの強化、作業員の能力管理、また放射線防護の面では集団線量の制限に向けてEDFが払った努力について、ASNは肯定的に評価する。これに対して、環境保護の面で、事業者はその活動を強化すべきである。
ASNとしては、ECSの結果として命令した措置で要求される作業の膨大さを特に指摘しておく。ASNはこれらの措置の展開に対して、中でも原子力即応部隊(FARN)、新たな危機管理手段、及び中核(hard core)機器、特に極端な状況に耐えられるよう強化された新たな冷却手段や発電装置の導入に目を光らせることになる。
AREVAグループの施設については、ASNは、ラ・アーグのサイトに関する努力、特に旧廃棄物の回収、経験フィードバックの考慮、重大事象の届け出に関する活動を今後も継続すべきであると見ている。ロマン=シュール=イゼールの燃料製造工場に関して、ASNは、原子力安全面のパフォ−マンスの改善を期待している。特に、ASNは、FBFC工場における臨界安全規則の徹底適用や実施した評価の質の改善をAREVAに要求している。
産業用ラジオグラフィ分野の放射線防護に関しては、数件のガンマ線透過試験事象が2012年に発生している。従って、放射線透過試験はASNの優先課題であり、2012年には100回を超える検査を実施している。内、数回の検査は労働監督局と共同で行っている。
国際面では、安全及び放射線防護の欧州拠点の構築が2012年もASNにとっての大きな目標であった。ASNは、海外の安全規制機関と連携し、安全要件の調整並びに安全機関の独立性や透明性の促進を目指す活動を継続した。更に、ASNは、原子力安全に関する指針の改訂に尽力している。
こうした調整作業は、WENRA(西欧原子力規制者会議)やHERCA(欧州放射線防護機関管理者連合)の業績がベースとなっている。
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エネルギーの転換をめぐり現在進行中の論争に触れて、ASN委員長のピエール-フランク・シュベは、一般異常が発生するとASNは数基の原子炉の同時停止を要求せざるを得ない場合もあることを改めて確認した。
「フランスの電力システムは、このような起こり得る事態に対処できるだけの余裕を備えている必要がある」。
「原子力発電所には、予測が難しく、必ずしも全ての原子炉で同じとは言えない限られた寿命があることも考慮する必要がある。従って、将来の電力需要を賄うことのできる新たな発電手段への移行を前倒しで進めるのが肝心である」と、彼は付け加えた。
「透明性は安全機関の基本的義務である。それだけでは十分でなく、関係者全員が参加する論争に火をつけ、彼らが決定作成に関わるように仕向ける必要がある」と、しめくくった。
数字で見るASNの活動
2012年、ASN2093回の検査を実施した。原子力基本施設(INB)の検査が802回、輸送事業の検査が112回、核医療分野の検査が1050回、認可機関や研究所の検査が129回である。
ASNが検査に費やした日数は281日間であった。
2012年にASNに届出された事象は下記の通りである:
·      INBの原子力安全、放射線防護、環境に関する重大事象が1,170
·      放射性物質の輸送に関する重大事象が59
·      核医療分野の放射線防護に関する事象が593
·      149件の事象がINESのレベル1に分類され、4件がレベル2に分類された。レベル2に分類された事象は次の通りである。カットノン原子力発電所の2号機及び3号機のプールの配管に「サイホン・ブレーカ」が設置されていない事象;ニームで発生した輸送時の医療用放射性フッ素を収めたパッケージの紛失;ロマン=シュール=イゼール県の(AREVAグループ)FBFC施設内で発生した臨界管理規則違反;フォス湾のEsso製油施設で使用されているガンマ線透過試験装置の高レベル線源のロック解除誤操作。
 
 
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