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ASNが『ハードコア』の導入に関する追加要件を決定
パリ発、2014123
Information Notice
2014121日、ASNの委員会は、ポスト福島の『ハードコア』をEDFの原子力発電所に導入するための追加要件を定める19件の決定を採択した。
決定は目的と『ハードコア』の構成要素を明確にしている。この『ハードコア』は以下のための手段を包括しなければならない:
·         原子炉炉心又は使用済燃料貯蔵プールを巻き込むシビアアクシデントを予防する。
·         回避できそうにない事故の影響を制限し、ベント装置を開放せずに格納容器の健全性を維持する;事故影響の制限というこの目的は事故のあらゆる局面で適用される。
·         事業者が危機管理の使命を全うできるようにする。
『ハードコア』は、特に計測制御と電源に関しては、既存の装置からできる限り独立させる必要がある。
決定は『ハードコア』の機器に採用すべき設計規則を明らかにしている。これらの規則は最も厳しい規格に準拠していなければならない。結局、EDFは、特に地震と洪水については著しく誇張した不測事態を想定し『ハードコア』機器の設計を行うことになる。
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『ハードコア』の導入は、2011311日に発生した福島第一原子力発電所の事故の経験フィードバックを考慮するためにASNが要求した安全追加評価(ECS)の結論を審査した後、2012626日にASNから命令された。『ハードコア』コンセプトは、極端な事象に耐えられる構造物や機器を用意して原子炉の安全上重要な機能を確保するのが目的である。つまり、施設の一般的な設計基準を遥かに超える不測事態から安全機能の管理に必要な機器を保護し、施設の最終的なハザード防護を確保することである。
ASNの要求を受けてEDFが提案した『ハードコア』はIRSNによって評価され、その結論が20121213日と20日に原子炉専門家常設グループ(GPR)に提出された。
GPRが作成した勧告を踏まえ、ASNは追加規則を定めた決定案を作成し、EDFの原子力発電所について提案された『ハードコア』に関する幾つかの要件を明確にした。原子力発電所の『ハードコア』についてEDFに適用される追加規定を定めるASN決定案は20131118日から129日まで公衆に諮られ、その内容についての意見が求められた。
決定は運転中の全ての原子力発電所及び現在建設中のフラマンビル3EPR型炉にも適用されることになる。
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ASNは安全追加評価(ECS)を受けて決定されたEDFの原子力発電所に関するその他の措置を再確認しておく。
ECSの後、ASNは、201213日の意見書で、自然リスク(地震及び洪水)の予防、その他の産業活動に関連するリスクの予防、下請業者の監視、及び不適合の処理について、一連の措置を事業者に要求し安全要件を強化することを強調した。これらの措置は32件のASN決定で要求されており、何れの決定もEDFの原子力発電所、AREVAの施設及びCEAの一部原子炉に関する凡そ30の追加規定を定めている。規定に対応する措置は、施設の設計を超えた安全余裕の大幅強化をもたらすものでなければならない。
これらの規定は、『ハードコア』に加え下記の事項をEDFに要求している:
·         『原子力事故即応部隊(FARN)』。遅くても2014年末までには完全配備されるはずのこのFARN2012年末から活動できることをASNでは確認している。FARNは、事故が発生した発電所の専門チームを補充できる専門チームを派遣したり、冷却水や電源の補給を確保する可搬式機材を提供したりすることで事故サイトの救援を可能とする。従って、FARNから提供される機材を容易に接続できるよう、幾つかの変更措置が原子炉に加えられた。
·         58台の非常用ディーゼル発電機が各原子炉に配備されるまでの暫定措置として、2013630日までに中型発電機が各原子炉に増設された。
·         地震時及びシビアアクシデント時に活動する人員の教育強化。
ASNは、やはり201213日の意見書で、会社、組織及び人的要因が安全の必須要素であることも再確認した。2012626日のASN決定で要求されたこの分野の諸要件(運転員教育の改善及び強化、緊急事態における対応条件の考慮、緊急事態に対応する人員の精神的負担の考慮、等々)の他に、ASNはこれらをテーマとする多元的な作業グループである、会社、組織及び人的要因に関する指導委員会(COFSOH)を設置した。この委員会の2回の全体会議で、2013年には、以下をテーマに3つの作業グループが取り組んだ研究活動の現状報告書を作成することができた:
·         通常運転時の下請:組織と作業条件。
·         下請業者の使用:法的問題点。
·         非常事態の管理。
更に、ASNは、その意見書の中で、原子力安全担当各省庁と連携しながら作成した原子力基本施設に関する一般規則を定めた省令案が速やかに署名されるよう勧告している。この省令は201227日に署名されており、安全の改善に大きく貢献するはずである。省令は、特に、以下の事項について新たな要件を課している:
·         原子力事業者による外部業者の監視
·         状況の累積を考慮に入れて原子力安全を証明する。
·         違反の摘出と処理。
·         事業者の技術的能力及びその変更の枠組。
·         リスクを発生させる恐れのある活動に携わる人員の能力及び資格。
·         施設が生み出すリスクの予防を最優先とする方針の普及。下請業者もこの方針を実施しなければならない。
2013年、ASNはこの省令の規定が適正に運用されているかの検証に専心した。ASNは規制的決定の中でこの省令の要件の一部を明確にする予定である(最初の決定は2013年に公開されており、他の幾つかの決定は2014年に公開されることになっている)。
福島の事故の経験フィードバックを掘り下げて、ASNは、201213日の意見書で、原子力施設の安全基準を強化することを発表した。その一環として、2013年にASNは「原子力基本施設の外部洪水防護」に関するガイダンスNo.13を発行し、これら施設の外部洪水リスクの評価及び定量化とこのリスクに対処するため適応化された防護手段の定義を目的とする勧告を詳述した。
2014年には原子力発電所に関する違反の処理を定めた201227日付省令で導入された新たな措置の適用ガイダンスを完成させ、異常発見から施設の再適合化までの猶予期限を明文化する予定である。
地震関連リスクの考慮に関する安全基準については、『ハードコア』導入のための追加要件を定める規定がこのリスクに対する原子力発電所の強度を著しく高める。最終的にASNは、IRSNと連携し、その他の外部ハザードに適用される安全基準の改訂についての検討に着手した。
詳細については:
- PWRの『ハードコア』に関する追加規定をフランス電力株式会社(EDF-SA)に対して制定する下記の19件のASN決定を閲覧する:
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