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フランスの原子力発電所を対象とした
『ポスト福島ハードコア』の定義に関するIRSN報告書の公開
公開日:201423
20113月に日本の福島第一原子力発電所で発生した事故は、原子力サイトが極端な自然ハザードによって大被害を受けて劣化し、一部施設の制御喪失や大量の放射性物質の環境内放出を引き起こし得ることを証明した。
日本の事故を受けフランスの原子力施設の安全追加評価(ECS)が実施され、極端な事態に対するこれら施設の挙動が評価された。この結果、例外的ではあっても起こり得ないとは言えない幾つかの状況が不幸にも重なりあった場合の多重故障シナリオが明らかとなった。この事実が確認され、201111月、IRSNは、影響を受け易い施設の重要な安全機能の管理を維持できる能力を強化し、放射性物質の大量放出を回避することを目指す『ハードコア』コンセプトを提示した。
ASNの要求で、IRSNは、20121213日、EDFから提案された『ポスト福島ハードコア』措置の評価結果を原子炉専門家常設グループに提出した。この報告書は本日公開され、IRSNのインターネットサイトから全文入手可能である。
ASNは、EDFの各原子力サイトに適用される追加規定を定めた2014121日の決定でこれらの措置に関する見解を打ち出している。ASNの決定はIRSNによる専門家評価の結論を再記し、この評価を受けてEDFが実施した掘り下げた検討の結果を考慮している。専門家評価はハードコア・コンセプトの運転面の定義を可能としており、IRSNではこれについて満足している。
IRSNによる専門家評価が下した主な結論は以下の通りである:
·         2012年に確定されたEDFの措置を更に補充し、電源又はヒートシンクが全喪失し長引いた場合に、環境への影響を大幅に制限するようにすべきである。この種の状況は極端な一つのハザード又は複数のハザードの組み合わせで発生すると考えられるため、IRSNでは、ハードコア機器の設計に際してEDFが選定した不測事態を検討してみた。この結果、地震スペクトルの再評価が必要ではないかと考える。
·         EDFが示したハードコアは、極端な状況下で放射性物質が大量に環境中に放出し影響が長引くのを避けることを目的としている。IRSNとしては、ハードコアが大量の放射性物質の環境内放出の長期的影響を制限できるだけでなく、緊急段階における公衆の被ばく線量の主要因子である希ガスやヨウ素の放出も大幅に制限できなければならないと判断する。
·         上述の事故状況下で放出を制限するためにEDFが採用した運転戦略は、第1閉じ込めバリア(燃料被覆)の状態の如何に係わらず、第2バリア(原子炉1次系)や第3バリア(原子炉格納容器)の制御された開放に繋がりかねない点にIRSNでは留意した。バリアの健全性をできる限り長期間維持することを優先する運転戦略によって、福島で発生したような極端な事態に対処すべきであると判断する。従って、IRSNは、ハードコアが2次系の蒸気発生器による1次系の冷却機能の確保を可能とするよう勧告した。
·         ハードコアに関する諸要件は、採用された措置の機能確保能力を高い信頼性で保証できなければならない。この点に関して、IRSNは、ハードコア機器の設計に採用された不測事態のレベル、特に追加評価が見込まれる地震レベルについて審査した。
·         物理的措置とは別に、ハードコアの外部ハザード対処能力は、状況を管理し、事業者の所掌である対応策を決定する組織や人員の能力がベースである。この点に関して、(「現地危機管理センター」と称される)危機管理用の頑強な建屋を設置するEDFの決定並びに被災サイトの危機対応チームを増援する原子力事故即応部隊(FARN)の展開についてIRSNでは特に留意している。
IRSN報告書2012-009 - EDFPWRに関するポスト福島ハードコアの定義:目的、内容、諸要件:
 
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