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経験フィードバック(REX)の実施:
その理由と方法
学習ソース、事象経験フィードバックの目安
報告書PSN-SRDS/2014-00019
経験フィードバック(REX)は、原子力施設で営まれる活動の過程で発生する不具合から教訓を引き出す仕組みを通じて活用される。
IRSNとフランスの原子力事業者の専門家は、作業グループとして20127月から201312月にかけて会合し、REXに関する現行方式について意見交換した。本報告書は、その際に取り上げられ議論されたREXの仕組みに関する幾つかの目安をまとめている。それは運用ガイダンスでもなく、規制化を視野に入れた要件集でもなければ、既存の仕組みに関する批判集でもない。報告書は、こうした仕組みの構想、運用及び評価に係わる全ての関係者に向けたものである。REXの仕組みについて熟考を促し、改良に導くことが本報告書の本来の目的である。
1            前文
2            REXの仕組みの構成要素
2.1    REX組織化され完成したシステム
2.2    REXの運用目的
2.2.1     理解する
2.2.2     共有する
2.2.3     行動する
3            効果的なREXの条件
3.1    事象とは?
3.2    分析方法とそのレベル
3.3    分析に関する専門知識
3.4    マネジメント姿勢
3.5    違反の裏側を把握する
3.6    是正措置
3.7    分析の再現
3.8    決定及び運用プロセスに登録されるREX
3.9    2レベルの分析:前進のために後退する
4            更に遠くへ
4.1    この書類の使用方法
4.2    役に立つ参考資料
1     前文
原子力施設のライフサイクル(設計、建設、運転そして指定解除まで)に係わる関係者は、誰もが、複雑で高いリスクを抱える諸系統の開発や安全の改善に経験フィードバック(REX)が占めている中心的な役割を認識している。40年前から、事象や事故の分析は産業施設の運転に関する教訓を提供し、REXの仕組みの構造や運用のモデル化に貢献している。様々なツールが開発され、人材や資金が投入され、分析方法が編み出され、伝えられている。
REXの実施」をコミットしているにも拘らず、不具合から引き出すことができたはずの教訓が主だった関係者の手を時折すり抜けて、同じ様な事象が発生している。幾つかの理由がこれらの限界を説明している。一つには、REXが歴史的に運転安全の分野で普及したことである。REXは、データベースに収集された技術情報や統計情報の処理を通じて機器の信頼性の向上に貢献した。企業の個々の設計部門で管理されるこの方面のREXは、主に、技術システムの設計、保守及び変更に使用されていた。他方、原子力施設の中では、一部が規制要件によって構造化されていることから、REXは管理及び「報告」ツールとして認識されがちである。こうした歴史的要素と背景的な要素は、急激な活用ペースと相俟って、機動的なリスクマネジメントの仕組みの中で効果的にREXを処理することの難しさを理解させてくれる。
何れにしても、技術システム、プラクティス及び作業組織の実質的な改良につなげることが可能な本当の意味での学習ソースとしてREXを運用することが基本である。不具合に絡む全ての側面を考慮し、定性的なREXのアプローチを開発し、REXの仕組みを身近なマネジメント活動の中心に据えることは、REXの処理を改善し、最終的に原子力施設の安全を前進させ作業員の放射線防護を強化するための原動力となる。
この書類は、安全、放射線防護、環境及び放射性物質の輸送に関して原子力事業者が監督機関に届け出る重大事象のREXを活用するための目安を提供する。この枠組化は、「REXの実施」が届出された重大事象の処理に制限されるわけではないため、限定的なように思われるかもしれない。この書類に記されるメッセージは、その大部分が、他の産業部門(化学、航空機、乗客鉄道輸送、建設又は解体工事、等々)或いは他の種類(特に労働者の安全)の事象ないしは特定の届出制度の適用を受けないREXの仕組みに当てはめることができる。
1部では、(目的で方向づけされ)組織化され完成したシステムとしてREXの仕組みを紹介し、その様々な役割を説明する。第2部では、効果的なREXの仕組みの諸条件を構成する主要ファクタを集中的に取り上げる。第3部では、熟考を継続するための様々な方策を提示する。
 
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