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高エネルギー領域拡張型中性子分光システムの開発

受入れ側研究所:中性子計測・線量測定研究所(
LMDN
審査開始日:20061010
学位審査対象者:Sébastien SERRE
テーマの詳細

論文テーマは、ボナー球型システムの原理に基づく高エネルギー(
> 20 MeV)中性子分光器の設計、製造及び特性化である。複数検知器システムに結合する熱中性子カウンタの感度は、測定ポイントで見込まれるフルエンス量並びに中性子線場の発生方法に合わせて適応化される。
審査作業は様々な分野(医療、研究、航空宇宙、等々)で見られる高エネルギー中性子線場の特性を扱った文献調査から始まる。更に、審査申込者は20 MeVを上回るエネルギー領域に適応化されている、或いは適応化できる中性子分光器システムをリストアップする。最終的に、この文献調査の対象はボナー球型システムの主要検知器として使用できそうな熱中性子カウンタである。これら構成要素のリストアップ、そして色々な種類の科学施設(研究用加速器、ハドロン療法用加速器、高地研究サイト(Bure峠))に中性子分光器を設置するための研究所のニーズとの突合せによって、分光器の構成要素(能動型又は受動型熱カウンタや減速材)を選定できるはずである。
審査作業は、モンテカルロ法のデジタルシミュレーションで分光器を特性化する次の段階へと進む。すなわち、一方では中性子エネルギーに応じた分光器の応答を、また他方ではシステムが最終的に使用される高エネルギー放射線領域に存在する別種の粒子(プロトン、フォトンなど)によって分光器構成材料の中で発生する可能性のある二次中性子に対する分光器の応答を決定する。応答関数に関連する不確実性の綿密な研究が行われる。
不確実性は、データベースに基づく反応実効断面積の変化、高エネルギーモデル間の違い、そして材料の密度や組成の変化に対する応答感度を考慮する必要がある。
中性子に対する相対的な応答関数は実験で検証しなければならない。したがって、Louvainカトリック大学、CERNなどの基準となる高エネルギー中性子線場で測定が行われる。応答関数が検証されると、宇宙線で発生する中性子フルエンスのエネルギー分布を決定するため、測定は高感度システムを使ってオルセーのプロトン照射センターなどの医療施設、更にBure峠高原サイトに設置されているASTEPプロジェクト(高地SEE [シングルイベント効果] 試験欧州プラットホーム http://www.l2mp.fr./astep/)のSSERテストベンチでも行われる。
審査作業全体が種々の科学雑誌で一回ないし数回紹介される予定である。
職場の中性子線場の特性化は、LMDNの主要使命の一つである。研究所では、数MeVから20 MeVまでのエネルギー領域における中性子フルエンスのエネルギー分布を決定できる複数の分光システムを補充して、専門家評価の要求に対応している。この領域のエネルギーは、一般的に、原子力産業施設(燃料サイクルのフロントエンドやバックエンド)或いは放射線治療施設で見られる中性子線場に対応している。研究所には超高エネルギー(> 20 MeV)中性子線場の特性化を求める声が幾つか寄せられている。この種の中性子線場は医療用のプロトン加速器によって発生したり、宇宙線から直に形成されたりして一部施設の計器類或いは航空機や宇宙分野の装置を妨害する。高エネルギー加速器を使用する研究施設からも同様の要求が出されている。
線量当量の評価であれ、放射線防護計器の応答計算であれ、中性子フルエンスのエネルギー分布の決定は重要である。例えば、癌性腫瘍のプロトン照射治療の場合、患者やビーム線のレベルでプロトンが相互作用するため、主に中性子からなる非常に高いエネルギーの二次放射線場が形成される。中性子フルエンスのエネルギー分布を把握することで、施設の戦略ポイントにおける付加線量を評価し、環境線量率のモニタリングや患者の個人線量測定のフォローに必要な様々な計測システムを較正することが可能となる。中性子線と一部電子コンポーネントとの反応の悪影響も観察されており、航空機や宇宙分野のために研究されている。これらの分野では、宇宙線起源の中性子束が電子回路との相互作用に大きな役割を果たしていると思われる。この種の相互作用は深刻な影響を招く可能性がある。
 
 
 
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