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地層処分産業センター、Cigéoプロジェクトの
操業時リスク管理に関する文書についてのIRSN報告書
公開日:2015422
20141210日、IRSNは、計画中の高レベル(HA)放射性廃棄物及び長寿命中レベル(MAVL)放射性廃棄物の深地層処分施設(Cigéo)における操業時リスク管理に関する放射性廃棄物管理公社(Andra)の書類の評価結果を廃棄物専門家常設グループ(GPD)と実験施設及び工場専門家常設グループ(GPU)に提出した。
評価の対象となったリスクは、特に、放射性物質の拡散、火災、廃棄物パッケージからの水素放出に関係する爆発そして原子力区域の操業と建設工事の同時進行に伴うリスクである。
Cigéoは地上施設、地上と地下を連絡する設備(縦坑及び斜坑)並びに地下施設で構成され、Andraではほぼ世紀単位の操業を予定している。IRSNは、地下施設及び地上−地下連絡設備の操業段階について採用された、介入及び避難方法が組み込まれた安全アプローチ及び要件を検討した。操業期間中のパッケージの回収も同様に評価されている。
火災予防と延長の制限並びに火災が引き起こし得る放射性物質の放出は地下施設の操業時における重大な安全問題であるとIRSNは見ている。この点に関して、IRSNでは、プロジェクトに加えられた変更が、特に処分場に導入される熱負荷を制限することで火災予防手段を改善する方向に進んでいることを確認した。しかしながら、この種の事象の予防及び制圧手段が十分でなければ、一部の有機廃棄物、とりわけアスファルト固化汚泥が延焼に一役買う可能性が残される。
このため、IRSNとしては、極端な状況を考慮するという意味で、幾つかのパッケージ内における発熱反応の暴走シナリオを提示し、こうした事故の進展及び影響を制限するために必要な補充措置を摘出するよう勧告する。
また、既存の地下処分施設で発生した事故経験のフィードバックは、管理されない発熱現象によって誘発される放射性物質の放出を避ける上で廃棄物パッケージの事前点検や監視が重要であることを示している。これを踏まえ、IRSNでは、Andra2017年をめどに提出する予定の設置許可申請を伴う書類で、発熱反応リスクを抱える処分パッケージの予期しない変化の速やかな検出を目的とする監視プログラムを提示するよう勧告する。
更に、地下坑道内における(第1閉じ込めバリアを構成する)処分パッケージの移動中に遮蔽式移送機によって第2閉じ込めバリアを追加するとともにパッケージと工作物で確保される閉じ込めを補充する動的閉じ込め機能をMAVL処分セル内に確保することを予定しAndra廃棄物閉じ込め方針を改善していることをIRSNは指摘しておく。
加えて、Cigéoの総合設計及び処分場の開発論理は、「原子力事業と建設工事の同時進行」に伴うリスクを、これら区域の境界部に物理的隔離手段を設けることで考慮している。廃棄物パッケージからの水素放出に関連する爆発リスクの管理について、IRSNは、Andraの書類に前進が見られることを確認した。しかしながら、IRSNでは、事故状況下における換気機能の使用不能継続時間又は遮蔽式移送機の停止継続時間を考慮し、Cigéoの設置許可申請の期限までに爆発シナリオを補強する必要があると見ている。
最後に、地下施設及び地上−地下連絡設備の設計は、パッケージの損傷又はロックをもたらす事象に起因する条件も含め想定可能な様々な操業条件の下で廃棄物の回収を可能ならしめることを目指す必要があるというのがIRSNの考え方である。更に一般的に言えば、IRSNは、パッケージの回収可能性から見た処分セルの管理オプション(開放状態を維持又は徐々に閉鎖)が、それぞれの長所や短所を踏まえて安全性並びに放射線防護の点で立証されねばならないと見ている。
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