法定被ばく限度とレベル
以下に記す数値は、フランスの原子力安全規制機関(ASN)の年次報告書、「フランスの原子力安全と放射線防護の現況、2017年」から抜粋したものである。
公衆衛生法典及び労働法典で規定されている年間被ばく限度
準拠条項
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定義
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数値
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備考
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住民の年間被ばく限度
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公衆衛生法典第R.1333-8条
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実効線量
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1 mSv/年
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これらの限度は、原子力事業によって被ばくした実効線量もしくは等価線量の合計を言う。
限度を超えることは容認できない状況を示す。
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水晶体(眼)の等価線量
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15 mSv/年
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皮膚の等価線量(被ばく領域の広さに関係なく、皮膚1 cm2当たりの平均線量)
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50 mSv/年
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労働者の連続12ヶ月間の被ばく限度
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労働法典第R.4451-6-8条
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成人
実効線量
手、前腕、足及び踝の等価線量
皮膚の等価線量(被ばく領域の広さに関係なく、皮膚1 cm2当たりの平均線量)
水晶体(眼)の等価線量
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20 mSv
500 mSv
500 mSv
150 mSv**
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これらの限度は、被ばくした実効線量もしくは等価線量の合計を言う。
限度を超えることは容認できない状況を示す。
特例が認められている
- 一部の作業区域で、限られた期間について、事前に正当化した上で、特別許可の取得を条件に特例を計画することができる。この場合の個人被ばく線量は、年間被ばく限度の2倍を超えないことを目途に計画される。
- 緊急事態の場合には、特に人命救助を目的とした緊急時の職業被ばく線量を適用することができる。
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妊婦
胎児の被ばく
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1 mSv
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15歳から18歳までの未成年者*
実効線量
手、前腕、足及び踝の等価線量
皮膚の等価線量
水晶体(眼)の等価線量
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6 mSv
150 mSv
150 mSv
50 mSv**
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* 例えば見習い契約などの特例の枠内でのみ認められている。
** この被ばく限度は、労働者の電離放射線リスク防護に関する現在作成中のデクレにより変更される予定である。
家畜用飼料の最大許容放射能汚染レベル(セシウム134及び137)
家畜の種類
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Bq/kg
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豚
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1,250
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鶏、子羊、子牛
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2,500
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その他
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5,000
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出典:2016年1月15日の欧州理事会規則(Euratom)第2016-52号
患者防護の最適化レベル(公衆衛生法典)
準拠条項
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定義
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数値
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備考
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診断検査
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診断標準レベル、
2004年2月16日の省令第R.1333-68条
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標準的な診断検査の線量レベル
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例:胸部の後前方向X線撮影の1回の入射における入射線量0.3 mGy又は面積線量(DAP)25 cGy.cm2
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診断標準レベル、線量制限、標的線量レベルが最適化原則に基づき採用される。これらは単なる目安に過ぎない。
標準レベルは、通常の患者の場合、標準的な放射線検査の線量レベル並びに診断核医療分野の放射性薬剤の放射能レベルで設定される。
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線量制限、
2007年11月7日の省令第R.1333-65条
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照射対象者にとって直接的な医学的効果が無い照射の場合に線量制限が採用される。
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線量制限は、特に生物医学的研究或いは法医学処置の一環として照射する場合には、診断標準レベルの一部とすることができる。
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放射線治療
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標的線量レベル、
第R.1333-63条
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放射線治療(実験)の標的となる器官又は組織(標的器官又は標的組織)に必要な線量
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標的線量レベル(放射線治療の標的体積)によって、装置の調整を実施できる。
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放射線緊急時における介入レベル(公衆衛生法典)
準拠条項
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定義
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数値
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備考
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住民の防護
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介入レベル、
2003年10月14日の省令第R.1333-80条、2000年3月10日の通達
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(ヨウ素を除き)実効線量で示されるこの介入レベルは、以下に示す住民の保護措置の発動を決断するのが目的である
屋内退避
避難
安定ヨウ素錠剤の服用(甲状腺の等価線量)
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10 mSv
50 mSv
50 mSv
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県知事は現地の様々なファクタを考慮しその使用を変更することができる。
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介入者の防護*
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基準レベル、
第R.1333-86条
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これらのレベルは実効線量で示される:
技術又は医療介入の特別チーム
その他の介入者
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100 mSv
10 mSv
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介入が多数の人の被ばくを防止又は低減する目的で行われる場合には、このレベルは300 mSvまで引き上げられる。
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* 放射線緊急事態の下で対応にあたる作業員の防護措置は労働法典の枠内で導入、変更される予定である。
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